弁護士費用は法律で決まっておらず、事務所ごとに定められています。2004年に旧日本弁護士連合会の報酬基準が廃止されて以降、各事務所が自由に設定する仕組みです。そのため、金額そのものよりも「何を依頼するのか」と「どの時点でいくらかかるのか」を契約前に確認することが重要になります。この記事では、費用の一般的な内訳と、確認しておきたい項目を整理します。当事務所の具体的な金額は、費用のページをご確認ください。
この記事で分かること
- 弁護士費用の一般的な内訳(相談料・着手金・報酬金など)
- 労災で弁護士に依頼できる業務と、費用が変わる要因
- 契約前に確認したい項目
- 費用の負担を抑えられる場合(弁護士費用特約・法テラスなど)
費用の一般的な内訳
弁護士費用は、次の要素で構成されるのが一般的です。名称や区分は事務所によって異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律相談料 | 相談の時点で発生する費用。初回無料としている事務所もあります |
| 着手金 | 依頼した時点で支払う費用。結果にかかわらず発生するのが通常です |
| 報酬金 | 解決したときに、得られた経済的利益に応じて支払う費用 |
| 実費 | 収入印紙、郵便料、診断書や記録の取得費用など、実際にかかる費用 |
| 日当 | 出張や裁判所への出頭に対する費用 |
労災の場合、依頼内容によっては「手数料」として定額で設定されることもあります。
労災で依頼できる業務
費用は、依頼する業務の範囲によって変わります。労災では、次のように段階が分かれています。
- 労災保険の給付申請のサポート…請求書の準備、会社が協力しない場合の対応、労働基準監督署とのやり取り。
- 障害(補償)等給付(後遺障害)の申請…診断書や検査資料の整理、等級の見通しの検討。
- 不支給・等級に対する不服申立て…審査請求、再審査請求、取消訴訟。
- 会社や第三者への損害賠償請求…資料の収集、損害の算定、示談交渉。
- 訴訟・労働審判…交渉で解決しない場合の裁判手続。
すべてをまとめて依頼する場合と、一部だけを依頼する場合があります。どこまでを依頼するかによって費用が変わるため、最初に範囲を確認してください。
契約前に確認したい項目
金額そのものより、次の点を確認しておくと、後で認識のずれが生じにくくなります。
- 着手金の有無と金額…着手金がある場合、支払いの時期はいつか。分割に応じてもらえるか。
- 報酬金の計算の基礎…「経済的利益」に何が含まれるのかを確認します。会社から受け取る賠償金だけか、労災保険の給付も含むのかで、金額が大きく変わります。
- 業務の範囲…審査請求や訴訟に進む場合、別途費用がかかるのかを確認します。
- 途中で終了した場合の精算…依頼を取りやめたとき、着手金が返還されるのかを確認します。
- 実費の扱い…前払いか、後日精算か。診断書の取得費用は誰が負担するか。
- 回収できなかった場合…相手方から支払いを受けられなかったときの取扱いを確認します。
弁護士は、依頼を受ける際に委任契約書を作成することとされています。口頭の説明だけでなく、書面で内容を確認してから署名してください。その場で決める必要はありません。
費用の負担を抑えられる場合
- 弁護士費用特約…自動車保険や火災保険、クレジットカードなどに付帯していることがあります。通勤中や業務中の交通事故では、利用できる場合があります。ご自身の保険だけでなく、ご家族の保険に付いている特約を使える場合もあるため、保険会社に確認してみてください。
- 無料の相談窓口…労働基準監督署の窓口、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、労災保険相談ダイヤル(厚生労働省委託)などがあります。制度の一般的な説明や手続の案内を受けられます。
加入している労働組合がある場合、相談先を紹介してもらえることもあります。
費用倒れをどう考えるか
「弁護士に頼むと、かえって手元に残らないのではないか」という不安はよく聞かれます。判断の材料になるのは、次の点です。
- 残る障害の程度…後遺障害が残る場合、慰謝料や逸失利益の額が大きく変わります。
- 会社の責任を問える見込み…安全配慮義務違反などがあったといえる事情があるか。
- 争いになっている点…労災認定そのものが争われているのか、金額だけなのか。
これらは事案によって大きく異なるため、一般的な見込みを示すことはできません。相談の段階で、費用と見込みの両方を確認したうえで、依頼するかどうかを判断できます。相談したからといって、依頼しなければならないわけではありません。
なお、不法行為に基づく損害賠償請求では、弁護士費用のうち相当と認められる額が損害として認められることがあります。ただし、全額が認められるわけではなく、請求の構成によって扱いが異なります。
相談のときに持参するとよいもの
- 診断書、通院の記録、お薬手帳
- 事故の状況が分かる写真やメモ
- 給与明細(直近3か月分程度)、源泉徴収票
- 労災保険の請求書の控え、支給決定や不支給の通知
- 会社とのやり取り(メール、書面)
すべてがそろっていなくても構いません。手元にあるものだけで相談できます。療養中で来所が難しい場合は、オンラインでの相談ができるかを問い合わせてみてください。
よくある質問
Q. 相談すると、会社に連絡が行きますか。
相談の段階で、弁護士から会社へ連絡することはありません。実際に会社へ請求や交渉を行う段階になれば、会社に知られることになります。相談と、請求を始めることは分けて考えられます。
Q. 労災保険の申請だけを依頼することはできますか。
依頼できる場合があります。ただし、申請の代行を業務としているかは事務所によって異なります。社会保険労務士が申請の手続を扱う場合もあります。どの範囲を依頼できるか、問い合わせの際に確認してください。
Q. 相談は早いほうがよいですか。
早いほうが選択肢は多くなります。労災保険の給付には給付ごとの請求期限があり、会社への損害賠償請求にも時効があります。また、事故現場の状況は時間とともに変わり、記録の保存期間も限られています。すでに時間が経っている場合でも、あきらめずに確認してください。
まとめ
- 弁護士費用は法律で決まっておらず、事務所ごとに異なります。
- 一般的な内訳は、相談料・着手金・報酬金・実費・日当です。
- 報酬金の計算基礎に何が含まれるか、業務の範囲がどこまでかを、契約前に書面で確認してください。
- 弁護士費用特約や法テラスを利用できる場合があります。保険会社に確認してみてください。
- 最初にできることは、手元の資料をまとめ、費用と見通しの両方を相談の場で確認することです。
当事務所の費用については費用のページ、相談の進め方についてはご相談の流れのページをご覧ください。
