弁護士岩本尚光|静岡県全域の労働災害・労災
労災保険で補われない損害を、会社に請求できる場合があります
労災保険は、治療費や休業中の収入の一部などを補う制度で、慰謝料は支給されません。また、将来の収入の減少(逸失利益)も、全額が補われるわけではありません。会社に安全配慮義務違反などの責任がある場合は、労災保険とは別に、会社に損害賠償を請求できることがあります。
労災と認定されたことだけで、会社の責任が決まるわけではありません。会社の落ち度、事故との因果関係、証拠によって結論が変わるため、見通しを率直にお伝えしたうえで進め方を一緒に考えます。
Worriesこのようなお悩みはありませんか
労災保険から慰謝料は出ないと言われた
精神的な苦痛に対する賠償を、どこに求めればよいか分からない。
「労災保険で終わり」と言われた
会社から言われたが、本当にそれ以上は請求できないのか知りたい。
後遺障害が残り、将来の収入が心配
労災保険の障害(補償)等給付だけで足りるのか分からない。
会社の安全対策に問題があったと思う
安全装置や手順、教育が不十分だった。

Liability会社に責任を問える場合
会社に損害賠償を請求する主な根拠は、次のとおりです。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 安全配慮義務違反 | 会社は、働く人の生命や身体の安全に配慮する義務を負っています(労働契約法5条)。危険を予測でき、防ぐ手段をとれたのに、それを怠った場合に問題になります。 |
| 不法行為 | 会社や、上司・同僚の故意や過失によって損害が生じた場合です(民法709条・715条)。 |
| 工作物責任 | 建物や設備の欠陥(設置・保存の不備)が原因で事故が起きた場合です(民法717条)。 |
建設現場などで、下請の作業員が元請の指揮・監督のもとで働いていた場合には、元請会社の責任が問題になることもあります。交通事故のように第三者の行為で被災した場合は、その相手方(や保険会社)が主な請求先になります(「通勤災害・交通事故労災」)。会社の責任の考え方は「安全配慮義務違反」のページで詳しくご説明しています。
Damages請求できる損害の項目と、労災保険との関係
会社に請求できるのは、実際に生じた損害のうち、労災保険で補われていない部分です。項目ごとの関係は次のとおりです。
| 損害の項目 | 内容 | 労災保険との関係 |
|---|---|---|
| 治療費 | 治療にかかった費用 | 療養(補償)等給付で支払われた分は、重ねて請求できません。 |
| 休業損害 | 休業中の収入の減少 | 休業(補償)等給付(60%)を差し引いた残りを請求できます。休業特別支給金(20%)は差し引かれません。 |
| 入通院慰謝料 | 入院・通院を強いられた精神的苦痛 | 労災保険にない項目のため、会社への請求で扱います。 |
| 後遺障害慰謝料 | 障害が残ったことへの精神的苦痛 | 同上。障害の程度(等級)によって大きく変わります。 |
| 後遺障害逸失利益 | 障害によって将来の収入が減る分 | 障害(補償)等給付のうち、支給された分などを差し引いた残りを請求します。 |
| 死亡逸失利益・死亡慰謝料 | 亡くなった方の将来の収入と、精神的苦痛 | 遺族(補償)等給付との調整があります。慰謝料は、亡くなった方本人の分に加えて、ご遺族固有の分も認められています(民法711条)。 |
| 将来の介護費用 | 重い障害で介護が必要な場合の費用 | 介護(補償)等給付との調整があります。 |
| 弁護士費用 | 訴訟を起こした場合 | 裁判では、損害額の1割程度が損害として認められることがあります。 |
障害(補償)等年金などの年金で支払われる給付は、すでに支給された分や支給が確定した分が差し引かれ、将来の分の扱いには法律上の特別な調整があります(労働者災害補償保険法64条)。個別の計算は、ご相談の際にご説明します。
Reduction金額が減る場合(過失相殺・素因減額)
過失相殺
ご本人の不注意も事故に影響した場合、その割合に応じて賠償額が減ります(民法418条・722条2項)。ご本人に不注意があっても、請求そのものができなくなるわけではありません。
素因減額
持病など、ご本人側の事情が損害の発生や拡大に影響した場合に、減額されることがあります。
計算の順番
裁判例では、損害額から過失相殺をした後に、労災保険の給付を差し引く考え方がとられています。過失の割合が大きいほど、会社に請求できる額が小さくなる点に注意が必要です。
Deadline請求の期限(時効)
会社への損害賠償請求には、労災保険の請求期限とは別に、時効があります。生命・身体の侵害による損害賠償は、次のとおりです。
| 請求の根拠 | 期間と起算点 |
|---|---|
| 安全配慮義務違反(債務不履行) | 権利を行使できることを知った時から5年/権利を行使できる時から20年 |
| 不法行為 | 損害と加害者を知った時から5年/不法行為の時から20年 |
2020年3月31日以前に起きた事故には、改正前の民法が適用される場合があります。起算点は事案によって異なるため、事故から時間がたっている場合は、早めにご相談ください。くわしくはコラム「労災で慰謝料は請求できる?」でも解説しています。
Evidence請求で重要になる証拠
会社への請求では、「会社に落ち度があったこと」と「どれだけの損害が生じたか」の両方を、資料で示す必要があります。
事故の状況
現場や設備の写真、事故報告書、作業手順書、安全教育の記録、同僚の証言
労働基準監督署の資料
労災の支給決定の通知や支給記録。監督署の調査資料は、個人情報の開示請求で入手できる場合があります。
けがと治療の経過
診断書、診療録、画像や検査の結果、後遺障害の等級認定の通知
働き方
タイムカード、勤怠記録、業務の指示のメールなど(過労や精神疾患が問題になる場合は特に重要です)
資料がそろっていなくても、ご相談の段階であきらめる必要はありません。何をどう集めるかから、一緒に確認します。

For Familyご家族・ご遺族からのご相談について
ご本人だけでなく、ご家族・ご遺族からのご相談にも対応しています
ご本人が入院中・通院中で、ご自身では相談が難しい場合も、ご家族からのご相談を承っています。
- 亡くなった方の損害賠償請求権は、相続人が引き継ぎます。
- あわせて、父母・配偶者・子には、ご遺族固有の慰謝料も認められています(民法711条)。
- くわしくは「死亡労災・ご遺族の相談」のページもご覧ください。
会社の責任を問えるか、まずは確認してみませんか
初回のご相談は60分まで無料です。事故の状況や証拠、労災保険の給付状況を伺い、見通しを率直にお伝えします。
Flow請求の流れ
- ご相談・資料の確認
事故の状況、治療の経過、会社の対応、労災保険の給付状況を確認します。
- 資料の収集
労災の支給記録や監督署の調査資料、医療記録などを集めます。
- 損害額の計算
後遺障害が残る場合は、等級が決まってから全体の損害額を計算します。
- 会社への請求
弁護士が代理人として、書面で会社に請求します。会社が加入している保険から支払われることもあります。
- 交渉・労働審判・訴訟
責任の有無や金額について交渉します。合意できれば示談で解決します。
労災保険の申請がまだの場合は、先に給付を確保します(「労災保険給付申請」)。
Merit弁護士に相談するメリット
会社の責任の見通し
事故の状況や証拠から、会社に責任を問えるかの見通しを整理します。
損害額の計算
慰謝料、休業損害、逸失利益などを、資料に基づいて計算します。
労災保険との調整
すでに受け取った給付との調整を踏まえて、請求できる額を整理します。
Fee会社への損害賠償請求の弁護士費用
ご相談内容、会社の責任の見込み、後遺障害の有無、損害額、交渉・労働審判・訴訟の必要性により、費用は異なります。ご依頼の前に、見通しと費用をできる限り分かりやすくご説明します。
初回のご相談
60分まで無料です。ご本人だけでなく、ご家族からのご相談も承ります。
ご依頼の費用
着手金・報酬金は、ご依頼の内容(交渉、労働審判、訴訟など)によって異なります。目安は「弁護士費用」のページでご確認いただけます。

FAQよくある質問
労災保険から給付を受けました。それでも会社に請求できますか?
自分にも不注意がありました。請求はできませんか?
在職中ですが、会社に請求すると働きづらくなりませんか?
過労や精神疾患の場合も、会社に請求できますか?
会社から示談書へのサインを求められています。
会社への請求を考えている方へ
「会社の責任を問えるか分からない」「労災保険だけで十分なのか知りたい」という段階でも構いません。初回のご相談は60分まで無料です。ご本人・ご家族・ご遺族からのご相談を承ります。
電話受付 平日10:00〜21:00/土日・夜間はLINE・Webで予約/メールフォームは24時間受付
弁護士 岩本尚光(静岡県弁護士会所属/所属:弁護士法人HOPE法律事務所)